解くコツこつこつ 〜大学入試問題・国語〜

基本的な解法のコツを分かり易くご紹介します。歩みを止めずけれど焦らず、一緒にこつこつ勉強して行きましょう。

2017年度 慶應義塾大学 文学部ー小論文 No.3

5. 筆者の考えを要約しよう


1〜4で述べたコツを使いながら課題文(以下、評論と言う)を読んで行くと、「その日暮らし」を「わたし」がどのようにとらえているか、という箇所にたどり着く。


(A)(本文)だが、タンザニアの農村のアソビは上野村の人びとのように「収穫はともに実りの時期を迎えたみなのものだ」「余剰分は不作の農家に回す」を前提に成り立ってはいないようだ。それならば、「最少努力」で臨まずに、上野村の人びとと同じように自家消費量の2倍の作物を作ればいいように思う。むしろアフリカ農村のアソビは、不作の年もあるし、みなが同じように生産できず、食べられない人びとが生まれることを知りつつも、何らかの共同作業的な関係を前提としてどれくらい生産するかをあらかじめ計画しない点、すなわち「どうかなったら、そのときに対処する」というLiving for Today の生き方から出発しているのではないだろうか。そう考えると、嫉妬やうらみによる平準化の圧力は抑圧ではなく、自然や社会との関係的に存在する時間を操る生き方の技法として解釈を展開できる。


上記、「だが」は逆説の接続詞だ。来た!
ここから始まる部分は、直前の「内山氏の述べた里山の生活と同様であること」を否定すると同時に、「掛谷先生の述べたアフリカ諸国の発展を阻む要因となっていること」をも否定し、「わたし」の考えへと流れ込む部分である。(太字・斜体・下傍線がわたしの考えの主要部分)← (//_//) 記号がくどくて申し訳ありません。


【 マークすべき接続詞・ひと続きの表現】
※ すなわち」は直前部分を言い換えて、より良くまとめることを示す接続詞。
※ そう考えると」は直前部分を受けて、更に考えを発展させて行くことを示すひと続きの表現。



太字・斜体・下傍線 部分を繋げ、文章として意味が通るようにしよう。
タンザニア焼畑農村の人びとの生活の中にあるアソビ(=楽しさ)は、『どうかなったら、そのときに対処する』というその日暮らしの生き方からもたらされたものである。その楽しさは、『その日暮らしという生き方』を、人間と自然や社会との関係性の中に生まれる『時間を操る生き方の技法』として解釈をすることで、より理解できそうである。」
= 「わたし」の考え である。



(B)(本文部分)つまり彼らは、来てしまった客や、ご飯を食べているのを見られてしまった人を、そのときに食べているものを分け与えることでもてなす、あるいは嫉妬をかわすのであり、それはホスピタリティであり、社会関係をやりくりする技法でもある。分け与えることをはあらかじめ予想した出来事というより、降りかかってきた定めである。そして、そのような偶然や出会いに対処することが、ときには楽しみになっている。来るかどうかわからない客である限りは、余剰を準備したり思い悩んでも仕方がないし、起きてしまったことは何とか対処しなくてはならない。さらにその結果、わが身が困った事態におかれても、何らかの用事をひねり出して誰かの家を訪問したり、さりげなく誰かに分けてもらうことができる。ふだんは「何とかなるはずだ」という信念にみずからの生存を懸け、過度に自然や社会関係を変革せず、未来に思い悩まず「自然」のリズムでまったり暮らしながらも、いざといるときは、呪術や超自然的な事象との関係を駆使して切り抜ける。そのように解釈すると、彼らはたゆまぬ時間の流れのなかに緩急を生み出しながら、なかなかスリリングに生きている、時間をあやつる達人のようにもみえるのだ。


つまり」という言い換えて要約のキーワードの後ろに上記(B)の文章が続いていく。( A )で示されたキーワード「楽しみ」「その日暮らし」「時間」に関わる部分(太字斜体下傍線)が(B)における「わたし」の主張したい部分となる。


比べてみてみよう。ほとんど同じでありながら、若干の違いがある。この(A)(B)の太字斜体下傍線は、重複を避けながら かつ 述べていることはすべて要約として書き出したいところである。



6. (A)(B)のまとめ

タンザニア焼畑農村の人々の生活は、『どうかなったら、そのときに対処する』というその日暮らしの考え方からもたらされたものである。ふだんは「何とかなるはずだ」という信念にみずからの生存をも懸け、過度に自然や社会関係を変革せず、未来に思い悩まず「自然」のリズムで暮らす。だがいざという時は、呪術や超自然的な事象との関係を駆使して切り抜ける。このように彼らはたゆまぬ時間の流れのなかに緩急を生み出しながら生きている。人間と自然や社会との関係性の中に生まれる時間を操る達人といえる。」


これで約240字である。筆者「わたし」の主張で7割強を占めるのは適当な割合と考える。書きながら最も気を付けた点は、読んでいて内容がくみ取れるようにということだ。筆者の考えの部分は抽象的な表現が続くだけにとりとめのない表現になってしまいがちだからだ。シンプルな予防法として一文を短く作るようにすると良い。



筆者の考えという、中心部分を纏める作業を完了しました。自分を褒めてあげたい …… が、まだ早いです(笑)

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まだまだ中途半端なガッツポーズです。




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