俳*句くく

見る、聞く、触わる日常生活を俳句に創作して行きます。完全創作で小品も書きます。

無題

それは、姉と私とが通っていた西東小学校の裏手に広がっていました。やはり、姉が発見したものです。見渡す限りの田圃田圃の間には、几帳面に仕切りの段がこしらえてありました。それは畦道でもなく、もっと細い細い仕切りの役目だけを果たして続いているのです。
姉は真面目な目を私に向け、
「絶対に秘密だよ。」と言います。私は厳かにうなずきました。確かめるなり姉は、今にも崩れそうな細い細い道を伝うように歩き始めました。その道は、四角い田圃を取り囲みながら、不思議と絶えることなく続いていきます。姉の後ろにくっ付きながら私は、まるで知らない路地裏の迷路に迷い込んだかのようにワクワクしながら、夢中で干からびた田圃の迷路を辿って行きました。
姉が私をこの迷路へ導いたのは、学校が終わってからでした。既に夕暮れに差し掛かっていました。私達が後ろを振り返ると、西東小学校は遥か遠くに見えたのでしょうか。見えなかったのでしょうか。姉は、
「もう帰ろう。」と言いました。2人が短編『トロッコ』の気持ちになる以前にー。

姉より三歳年下だった私は、それ以降その迷路に、一人で行くことはできませんでした。私は何回か学校の裏手に回ってみましたが、不思議なことに、そこに広々と広がっていたはずの田圃を見つけることもできませんでした。姉はその後何回か、あの道を辿って遊んだのかもしれません。私は基地ごっこに夢中になり、そのことを姉に尋ねる機会も失ってしまったのでした。



* 2日目からいきなり小作品になってしまい申し訳ありません。
5年程前に書いたものです。← (//_//) ストック分で繋ぐというやつ?